中小企業の新しいリード獲得戦略はこれだ! 中小企業の集客にはオウンドメディア!その理由や運用効果を徹底解説
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公開日
2019.03.12
- 更新日
この記事は22分ほどで読めます
企業が独自にメディアを運営する「オウンドメディア」は、いまや多くの企業のマーケティング活動に取り入れられています。
しかし大企業とくらべると、資金や人材の規模が小さい中小企業は「自分たちでオウンドメディアを運営していけるのか」「そもそもこの規模でどのようなメディアを作ればよいのか」といった疑問を持つ担当者さまもいるのではないでしょうか。
これから本格的に運営を検討している企業は、オウンドメディアの運用方法や費用についても知っておく必要があります。そこで今回は、オウンドメディアの基礎知識をふまえて、中小企業がオウンドメディアを運営していくための方法や費用などについて解説します。
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目次
中小企業の集客こそ最適なオウンドメディア
オウンドメディアは、自社が所有するメディアの総称のことを指します。企業のホームページやブログ、メールマガジン、採用サイトなどが代表的です。
これまでオウンドメディアといえば、資金力や知名度のある大企業だけが運用しているイメージがあったかもしれません。しかし近年では、コロナ禍でWeb媒体の利用率が上がっているのも相まって、コンテンツマーケティングという名称で業界や企業規模を問わず活用が広がっています。
(ちなみに解釈は「コンテンツマーケティング」のなかの「オウンドメディア」というコンテンツです。詳しく知りたい方は『コンテンツマーケティングとは?実践方法までを詳しく解説』こちらの記事をご覧ください。)
では、なぜ中小企業にオウンドメディア運用がおすすめなのか。
理由としては主に
オウンドメディアが中小企業におすすめの理由
・コンテンツの配信の際に、社内で大幅な許可や申請手続きなどが必要ない
・やり方によっては低コストで運用を始めることができる
・これまで発信できていなかった独自のノウハウがSEOに強い可能性がある
といった点があげられます。
オウンドメディアには「自社の特徴や独自のノウハウなどをメディアを通して世界に伝えられる」という魅力があります。
オウンドメディアという媒体を通し、ユーザーが興味・関心を引くコンテンツを提供し続けることで、これまで出会う機会のなかった顕在顧客の発掘や見込み顧客からのアプローチを受けることができるかもしれません。
また、このほかにもオウンドメディアでは媒体ごとに獲得できるメリットや得られる効果が変わってきます。
オフィシャルサイト | 内容の精査で、SEO対策によるノウハウ紹介、リード獲得、ブランディング |
---|---|
記事コンテンツ |
ノウハウの提供で新規リード獲得、ファンの育成、認知向上 |
動画コンテンツ | ノウハウの提供で新規リード獲得、掲載サイト滞在時間を長くする、SEO対策効果、認知向上 |
ウェビナー | ビジネスパートナーの発掘、企業理解の促進、顕在顧客の育成やリード獲得 |
メールマガジン | 企業がわかる内容を配信することでユーザーのファン化、顧客ロイヤリティの向上、ブランディング、認知向上 |
(SEO・・・検索エンジンに上位表示させる検索エンジン最適化のこと)
「認知度が低いので認知向上を図りたい」「売り上げを伸ばしたいのでWebからも集客をしたい」など、まずは目的を定めて自社にあったオウンドメディアを運用していくことが大切です。
この章のまとめ
- 中小企業のほうがオウンドメディアを運用することに向いている可能性がある
- やり方によっては低コストでも始めることができる(人件費はかかります)
- 宣伝費がなく発信できていなかったノウハウがSEOで強い可能性がある
- 媒体によって得られる効果が違い、自社に必要なものを取捨選択できる
自社の集客に効果的なオウンドメディアを知ろう
中小企業の集客こそ最適なオウンドメディアでもお伝えした通り、オウンドメディアと一口にいっても数多くのメディアが存在します。業界やターゲットの属性、目的などによって効果的なオウンドメディアは異なるため「なにを目的にオウンドメディアを利用するか」を明確化してから「どのメディアで発信するのが一番効果的なのか」を考えましょう。
以下の代表的なオウンドメディアについて、活用方法や効果などを解説します。
・企業のホームページ
・記事コンテンツ
・動画コンテンツ
・ウェビナー
・メールマガジン
企業のホームページ
現代には必須といっても過言ではない企業のホームページですが、オウンドメディアの定義が「企業が運営するメディア」となるので、こちらもオウンドメディアに属します。
ただし、前述の通り企業のホームページは基本的には企業ごとにあるのがもはや必須です。
ホームページを集客ツールとして活用したい場合には、SEO対策が必須となりますが、対応としては主に内部施策(構築情報をSEOに最適化する)、掲載コンテンツの見直し、回遊性向上のためのユーザビリティの担保などがあげられます。
要するに、ここは基礎的な部分であるため自社でどうにかするのは難しいということです。自社がWeb制作を行なっていない場合は、少し詳しい担当がいる場合もできるだけ専門家に頼むことが大切です。理由としては、激しいSEO対策競争があるなかで、専門家を相手に少し詳しいというレベルで立ち向かうのは無謀だからです。それどころか、たとえば独学の担当者がコードをいじってしまうことにより、基礎構築が崩れたりわかりづらくなったりした結果、プロが触れるレベルまで修正する追加費用が必要になってしまうことも考えられます。そのため、社内リソースを割くくらいであれば、重ねてになりますが、できるだけ専門家に頼ることをおすすめします。
ちなみに、専門家といえど、Web制作の専門家とWeb集客の専門家は別なので発注時にはその会社がなにを得意としているかきちんと確認するようにしましょう。
例えば…
Web制作の専門家|Web制作会社、集客に強いWeb制作会社
Web集客の専門家|SEOコンサルタント、集客に強いWeb制作会社
Web制作会社は制作の専門家です。SEOの知識があれば内部施策も対応してもらえるはずですが、これは制作会社によって偏りがあるので発注前に確認することをおすすめします。また、Web集客の専門家であるSEOコンサルティングは逆に、掲載するコンテンツの内容については上位表示させるノウハウがあるのでダントツ相談したいですが、Web制作の専門家ではないので、内部構築のコードで何を使用することが最適なのかまでわかっている人や会社は少ないです。いまはSEOも得意でWeb制作もやっているWeb制作会社も多くなってきたので、見積もりをとったり担当者と話したりして、信頼できる制作会社にお願いするのが大切です。
この章のまとめ
- 現代ではコーポレートサイトは持っているのが当たり前なので、ない場合はオウンドメディアよりも先にこちらの制作を検討する
- 対策としては内部施策(構築情報をSEOに最適化する)、掲載コンテンツの見直し、回遊性向上のためのユーザビリティの担保など
- 専門性が高すぎるため、改修等はできるだけ専門家に頼むのが吉
- 専門家といってもWeb制作の専門家とWeb集客の専門家は違うので、依頼する場合は注意
(ちなみに、すこし宣伝になりますが、シスコムは集客に強いWeb制作会社として、これまで25年というわりと長い期間お客様の課題に寄り添わせていただいております。もし企業のホームページで何かお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。)
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記事コンテンツ
一般的にオウンドメディアの総称として扱われる記事コンテンツ。記事コンテンツ専用のサイトを新たに立ち上げる場合もありますし、既存の企業ホームページに記事コンテンツを入れ込む方法もあります。
記事コンテンツを運営して期待できる効果としては、潜在顧客への認知向上、顕在顧客へのアプローチ、見込み顧客や優良顧客への育成などがあげられます。
また前項で説明した「やり方によっては低コストでも始めることができる」という理由としては、記事コンテンツでは必須となるオウンドメディアを運用するサイトの用意が無料でできるからです。
もし、既存の企業ホームページに組み込むのであれば、外部、もしくは内部の構築できる人に改修をしてもらう必要があります。
企業のホームページとは別に、記事コンテンツなど新たなメディアを利用して情報発信していく場合、たとえばWixやnote、はてなブログのような既存のツールを利用すれば、発信する土台(サイト)自体は無料で用意することができるのです。ただし、場所を借りて運営するイメージなので、自由にカスタマイズできる自社サイト(※)よりも内部SEO施策は対応できないかもしれません。(※自社サイトをWeb制作会社に構築してもらっている場合と比較)またSEOでいうなら、もともとブログに特化しているサイトのnoteやはてなブログのほうが検索した時に上位表示されやすい可能性があるのでおすすめです。
こうした記事コンテンツ制作は、通常サーバー代やドメイン代などの費用負担はあるものの、上記のようなサイトを利用して自社で運営・管理すれば人件費のみのコストで運営できるメリットがあります。
また、記事コンテンツを運営していくのであれば、ページ内に商品購入やホワイトペーパーのダウンロードなどを促して、CV(コンバージョン)につなげるといった対応も有効です。MA(マーケティングオートメーション)の活用も視野に入れると、一人ひとりのユーザーに対して適切なアプローチが可能です。
この章のまとめ
- 記事コンテンツは大きく2つの方法で運営が可能
- 売上に直接絡む効果を見込めることも
- 無料のブログサイトなどを利用すれば初期費用などがかからない可能性も
- ただしリソースとして人件費は必ずかかるので注意
動画コンテンツ
現代に欠かせないオウンドメディアの新たな手法として、動画コンテンツの活用が広がっています。自社商品・サービスの情報はもちろん、使用感や製造過程、インタビューを配信するなど、自由な発想でのコンテンツ配信が可能です。
動画コンテンツの一番の長所といえるのは、短い時間で多くの情報を伝えられる点です。文章だけでは伝わらない表情や動作なども伝えられるため、より理解しやすく、魅力を訴求しやすくなります。たとえば、料理やヨガ、ストレッチなどの動画を観たことがある方も多いのではないでしょうか。文章より情報量の多い動画で配信した方が伝わりやすい分野の代表格ともいえるでしょう。もし再生回数が上がってきたら、CMを差し込んで動画コンテンツ単体で収益化も可能です。企業ホームページの動画内容に関係のあるページに埋め込めば、SEO対策にもなるでしょう。
また、動画コンテンツは企業のSNS運用にも相性が良好です。動画配信をSNSの企業アカウントで報告するだけでなく、InstagramのストーリーやTikTokなどのSNSのなかで動画配信ができるプラットフォームが幅広く普及していることから、SNSを活用した動画コンテンツのオウンドメディア運営という方法もあります。
動画コンテンツを運営して期待できる効果として具体例をあげるとすると、記事コンテンツや企業ホームページに組み込むことで滞在時間を伸ばせる、動画を各サイトに入れ込むことでSEO対策になり検索上位表示が期待できる点でしょうか。また、プロダクトを取り扱う企業の場合、商品の説明や解説動画を作る場合は新規リードの獲得にも効果を発揮するでしょう。
テレビCMよりも安価で作成できるほか、SNS特有の拡散力によって、自社や商品に対する認知が急速に広まるケースも考えられます。文字だけでは表現しづらい商材や、新たな技術を取り扱っている企業、ユーザーが楽しめるユニークな動画を配信したい企業などに向いています。また、現在はスマートフォンでも画質がいいので、自主制作であれば人件費のみで制作が可能です。ただし、その場合企画や編集などは自社で行なうため、人件費についてはそれなりにコストがかかることを理解しておきましょう。また、動画を配信したことを広く伝えたい場合は、やはりSNSの活用や企業ホームページとの連動が必要です。
この章のまとめ
- 主な動画配信プラットフォームはYou Tube、再生回数が増えれば収益化も可能
- SNSを活用した動画コンテンツの配信方法もある
- 動画には文字で伝えられない代わりにわかりづらいことも訴求しやすい
- 映像なので、社員が映る場合は会社の雰囲気などを伝えられ採用などに活かせる可能性も(※顔出しは社員への許可取り必須となる)
- テレビCMなどと比較すると安価で手軽に始められる
- 自主制作であれば人件費のみでも始められる
- 情報を広めたい場合は企業ホームページとSNSと連動するなどの工夫が必要
ウェビナー
ウェビナーとは、インターネット上で実施する動画を使ったセミナーのことをいいます。配信の仕方は大きく3つで、録画した動画コンテンツを配信(録画型配信)するだけでなく、配信時間をあらかじめ決めて、リアルタイムで配信(リアルタイム配信)、リアルタイム配信ではないが巻き戻しや早送りができない疑似的なライブ配信(疑似ライブ配信)があります。
オウンドメディアとしてウェビナーを運営するメリットは、全国どこからでも集客できるという点です。直接会場に足を運ぶ必要がなくなるため、集客しやすいという利点があります。また、こちらも動画コンテンツ同様、ウェビナー配信自体が軌道に乗ってきたら、受講を有料にすることでウェビナー単体での収益化が見込めます。
このウェビナー開催の最終目的としてはほかのコンテンツ同様、自社のサービスや商品を知ってもらい、なおかつ購入してもらうことですが、ウェビナーについてはそれだけではありません。ウェビナーでは地域を問わず多くの参加者と出会うことで、ビジネスパートナーを見つける手立てとしても有効です。
ウェビナー開催に向いているのは、双方向のコミュニケーションにより理解を深めていく商品やサービスを展開している企業。具体的には無形商材を扱っている企業やノウハウを商品としているコンサルティング業などにおすすめです。ターゲットとの距離感を縮め、信頼を構築したい場合にも適しています。
また、Google meetやZoomなど音声通話やチャット機能によって、企業と参加者が双方向にコミュニケーションを取れるサービスもあります。オフラインのセミナーに比べて、交通費や宿泊費、会場費用などの負担がなくなり、費用面でのメリットも大きいです。移動という負担がなくなったのは受講者も同じなので、従来のセミナーとは違った気軽な感覚で受講している方も多いでしょう。また、Web上の開催のため、結果をデータ化できる点も大きなポイント。ツールによってはコンテンツの閲覧履歴や参加者の滞在時間、視聴履歴などがデータとして数値化されるので、都度効果測定をして改善点を見つけPDCAを回すようにしましょう。参加者にアンケートを取るのも効果的です。その場合、アンケート回答者にはウェビナー資料を配布するなどの工夫をすると回答率が上がります。
ウェビナーはほかの2つのコンテンツと大きく違い、参加するユーザーがいなければ成り立ちません。そのため、広く開催の告知をし集客をすることが必須となるので、自社ホームページでの通知やSNSでの発信などウェビナーのための集客施策が必要になってきます。
この章のまとめ
- ウェビナーの開催手法は大きく「リアルタイム配信」「録画型配信」「疑似ライブ配信」の3つ
- 従来のセミナーと比べると必要コストが少なくて済む
- 軌道に乗ればウェビナー単体での収益化も見込める
- 無形商材を扱う企業やノウハウを商品としているコンサルティング業におすすめ
- 開催結果をデータ化できることが従来のセミナーと大きく違う。PDCAが回しやすい
- ただし、ほかのコンテンツと違いSNSや企業ホームページを使った集客施策は別に必要
ちなみに、シスコムでも定期的に無料ウェビナーを開催しております。Webマーケティングにお悩みの企業さまに向けて、さまざまな情報発信をしておりますので、よろしければ一度ご確認ください。
メールマガジンの配信
オウンドメディアのひとつとして、メールマガジンの配信もおすすめです。(以下、メルマガ)以前からある認知向上施策のひとつですが、うまく配信ができれば顧客ロイヤリティ向上から顕在顧客を見込み顧客まで育成することも可能です。
メルマガ配信には主に、メルマガ配信ツールを利用する方法とマーケティングオートメーションを利用する2つの方法がありますが、おすすめなのがマーケティングオートメーションを利用する方法。マーケティングオートメーション、通称MAとはこれまで営業スタッフが属人的に行なっていた顧客のアプローチ指標などを明確化し、整理、シナリオをもとに一定のクオリティで自動でアプローチしていくことができる顧客獲得のためのマーケティング支援ツールです。
メリットとしては顧客情報をデータ化して管理でき、属人的にならずにアプローチしていけるところ。多機能であり、簡単なWebページであれば作成できることもあります。一方で多機能なため使いこなすのが難しく、なおかつ自動化するためには人の手が必要であるということがあげられます。
自動化という言葉を鵜呑みにして人件費がかからないと思われる方もいらっしゃいますが、そうではありません。自動化するためには人間がそのシステムを構築する必要があります。たとえば、顧客の段階に沿ってステップメールを配信するとしても、どの段階でどのようなメールを配信するのか、それは何時が適切か、などです。使いこなせればこれまでに必要としていた部分に人件費がかからなくなるためとてもおすすめのツールですが、得られる効果が大きいぶん、できれば専任担当を配置した方がよいほど、MAツール導入には人件費という初期投資に覚悟が必要です。そこまで使い切れる自信がない……という方は、メルマガ配信ツールでも十分メルマガは配信できますので、できるところから始めてみましょう。
この章のまとめ
- メルマガ配信にはメール配信ツールとMAツールの2つの方法がある
- メルマガ配信をうまくできれば認知向上、顧客ロイヤリティを高め、顧客育成まで可能
- アプローチする顧客をシステム化できるMAツールの利用がおすすめ
- MAのメリットは多機能なツールであり、できることが多い点。 大きなポイントとして属人的な状態から、システマチックに顧客情報の データ化、管理、顧客ごとのアプローチが可能になることが挙げられる
- MAのデメリットは多機能ゆえに使いこなすことが難しく、 専任担当をつけた方がいいほど複雑である点
- MAツールはおすすめだが、 メール配信に絞るのであればメルマガ配信ツールでもできるので、自社のレベルに合ったツールを導入しよう
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成功のカギは運用体制づくり
前項では、オウンドメディアと一口にいってもさまざまな方法や媒体があることをご説明しました。どのコンテンツを運営するのかは、目的や自社のサービス・商品に合わせて変える必要があります。ただ、どのコンテンツも新しくメディアをスタートさせる前に、運用体制を明確に決めておく必要があります。これができていないと、せっかく軌道に乗ってきたのにリソースが足らず本業が疎かになったり、とても大変な作業なのに社内で理解されずに担当者が苦しむことになったりするので必ず社内で合意をとって進めるようにしましょう。何事も最初が肝心です。
まずは運用体制をどうするのか決める
まずはオウンドメディアをどのように立ち上げるのか、どの部署や担当者が更新するのかなど、社内で役割を明確化しましょう。
オウンドメディアは、継続的なコンテンツ配信や、効果検証をもとにブラッシュアップしていく作業が欠かせません。「自社で制作できるノウハウがない」「更新や分析に携わる人材を確保できない」といった場合は、外部の専門家に依頼する方法を検討します。またすぐに外部に依頼するのではなく、ノウハウの蓄積も兼ねて、一度社内で対応することも検討しても良いでしょう。ただしその場合は、担当者の負担が大きくなるので「どのタイミングで外部を頼ることにするのか」「兼務にするのであればどれぐらいの熱量で取り組めばいいのか」を、あらかじめ決めておくようにしましょう。
社内で内製する場合
オウンドメディアを自社で制作・運用するメリットは、外注費がかからないこと、情報をタイムリーに発信できることなどがあげられます。社内で運営に関するスキルや知識を持つ人材がいる場合に有効です。具体的にはWebなどのディレクター経験がある、ライター経験がある、SEOの知見があるなどの場合。この場合、熱量の高い社員に任せることがポイントです。
一方のデメリットは、運営に時間や手間がかかること、文章や企画などのクオリティを維持しづらいことなどが挙げられます。
内製する場合にとくに気をつけたいのが「コストがかからない」と勘違いすること。内製する場合は必ず人件費がかかり、社内のリソースを必要とします。もしメディアの運用経験などがなく、人にノウハウを伝えることに慣れていないようなら、最初は外注費よりもコストが膨らむ可能性の方が高いでしょう。これを理解せずに推し進めた場合、担当者のモチベーションを大幅に下げることになりかねません。
ただし、内製で動かす最大のメリットは、自社にノウハウがたまるということです。初期投資をある程度見込むことができ、オウンドメディアの内製の運用体制をシステム化し、フローを確立できれば外部に委託するよりも良い結果を得られるでしょう。そのためにも誰に裁量を渡すのか、チームメンバーは誰なのか、成果の指標をどこに設定するのかなどを明確化して目標に向かいやすくすることが大切です。
この章のまとめ
- 内製するメリットはタイムリーな情報提供が可能であり、外注費がかからないこと
- 内製する場合は熱量の高い社員に任せるのが吉
- 自社にある程度の知見がある経験者がいる場合におすすめ
- 文章や企画のクオリティを保つのが大変
- 人件費や社内リソースが必要なので、目標設定などを明確にしておくことが大切
- 最初の一年ほど初期投資の必要があるが、 将来的にノウハウが溜まることが最大のメリット。自社コンテンツ経由でリードが獲得できるようになるのであれば、最終的な利益率は高い可能性も
社外に外注する場合
外注するメリットは、企画や文章などのクオリティーが担保されること、オウンドメディア運用のノウハウがすでにあること(※)、コンテンツを安定的に更新できることなどがあげられます。
(※オウンドメディアのノウハウがすでにあるかは外注先によります。たとえば、記事執筆だけを外注する場合と運用からお願いする場合は、運用からお願いするほうがオウンドメディアの運用ノウハウはあるといえるでしょう。ただし費用も上がります。)
一方のデメリットは、外注費がかかることや、外注先と頻繁に連絡をとる必要があることなどがあげられます。また、外注といえど、社内に品質管理をするディレクターは必要となります。できあがった記事や動画を確認することになるので、ゼロベースで制作する内製とくらべるとある程度は楽になりますが、修正指示や間違いの指摘、内容のソース確認など、厳密にはやはり社内リソースを確保する必要があります。
とはいえ、コスト削減を重視するあまり、コンテンツの品質が低く、適切な運用を維持できない場合は、結局十分な効果は得られません。オウンドメディアなどを運用していくとコンテンツを更新することに必死になって忘れがちになりますが、一番大切なのは、それをすることによって集客や認知向上といった、本質の目的が達成できるのかどうかです。どうしても自社での運営が難しい場合は、できるだけ運用からお願いできる専門知識を持った会社に一度相談してみましょう。
また、社内外のリソースが必要なので初期投資の費用は多くなりますが、すべてを外注を継続的にお願いするという考え方よりも、期限を区切って半年間ノウハウを継承するために外注と一緒に運営するという考え方のほうがおすすめですよ。
この章のまとめ
- 外注するメリットはクオリティがある程度保たれること、ノウハウが自社になくとも外注先から得られる可能性があること、コンテンツの更新が安定すること
- デメリットは、外注費がかかることと、外注しても社内にディレクターが必ず必要になること
- 外注のノウハウを吸収するために、講師を雇うような感覚で期間を区切ってお願いするのがおすすめ
- 運用を始めて余裕がなくなると、コンテンツの更新が目的になりがち。大切なのは「それによって目的が達成できるかどうか」ということを忘れずに
社内体制が整えば運用にかなり有意
オウンドメディアを運営する際は、社内担当者の負担が増えないか、効果的なコンテンツ制作や更新を継続できるリソースがあるかを考え、内製または外注を検討しましょう。また、日々PDCAを回していくことが成功の鍵となるため、効果測定や分析などのスキル・ノウハウも必要です。社内体制がしっかり整っている企業は、低コストで運用できる有意な施策といえるでしょう。
オウンドメディアの戦略と施策
ここでは、オウンドメディア運営におけるポイントを、わかりやすく詳しく解説します。
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STEP
目的を明確化
運用を始めるとコンテンツの更新が目標になりがち。そもそもなぜオウンドメ ディアを運営しているのかをきちんと理解して推し進めることが重要。
-
STEP
戦略施策策定
目的(例:新規リード獲得=売上増加)のためにどのような戦略や施策を実行するのか考えるフェーズ。どのオウンドメディアを運用するかもここで決める。
-
STEP
ペルソナ設定
自社メディアに訪れてほしいペルソナを設定。そのペルソナが訪れるようなメ ディアの設計が必要。なお、ターゲットと意味が若干違うので注意。
-
STEP
カスタマージャーニー設計
訪れたユーザーがどのようなページをたどって、目的とする場所にたどり着くかを想定したもの。メルマガでも複雑化するユーザー行動を可視化できる。
-
STEP
コンテンツ企画・制作
上記内容が揃ったら、想定するユーザーが必要とする、ユーザーのニーズを捉えたコンテンツを作っていく。オウンドメディアのキモ。
より具体的な戦略を検討されている方は、こちらの記事もお役立てください。
目的を明確化する
オウンドメディアを運営してみたいと思ったら、まずは目的を明確化することが重要です。具体的にはなぜオウンドメディアを運営したいのか、それで何を解決したいのかという部分です。
たとえば、
課題:コロナ禍において対面で営業することが難しく、Web集客をしての売上アップも視野に入れたい。
だとすると、まずは
1、Web集客をして
2、収益化する
というところまでが目的です。この場合、Web集客ができていても、収益化ができていなければあまり意味がありません。
しかし段階的な目標としては
第一フェーズ:Web集客
第二フェーズ:集客した顧客を育成し収益化
ということが見えてくると思います。
この部分が非常に大切で、ここを曖昧に走り出してしまうと失敗に終わる可能性が高くなります。ゴールが決まっていないレースで勝てるわけがないからです。
社内の共通認識を持つためにも、この部分はオウンドメディアを始める前に明確にしておきましょう。
戦略・施策を立てる
つぎに、前回立てた目標を達成するための戦略・施策を立てていきましょう。
上記の目標をベースに考えると「Web集客をして」「収益化する」という目標を達成するために必要な作業としては
新規顧客の開拓
既存顧客へのアプローチ
などがあげられると思います。この場合、たとえば上記内容を具体化すると
◆新規顧客の開拓
新規リード獲得に向けた新たな顧客開拓を行なうために必要な施策は認知向上、ノウハウ提供で信頼感の醸成等
◆既存顧客へのアプローチ
既存顧客の課題発掘のためのアクションや、現状の課題に対して解決策提示のアピールをする、ノウハウ提供で信頼感の醸成等
となりました。この場合、両ターゲットに対して「ノウハウ提供で信頼感の醸成」が必須であるということがわかると同時に、内容の切り口は違えど、自社の認知向上も必要だということがわかります。
ここまでを簡単にまとめましたが、この場合に最適なオウンドメディアはなんでしょうか。
一例をまとめてみましょう。
◆新規顧客の開拓に対して最適なオウンドメディア
・記事コンテンツ
◆既存顧客へのアプローチに対して最適なオウンドメディア
・メルマガの配信
・記事コンテンツ
理由は下記の通りです。
◆新規顧客の開拓に対して最適なオウンドメディア
・記事コンテンツ|オーガニック検索による潜在顧客の誘致が可能で回遊による育成ができ、メルマガ登録への誘導も可能。具体的な課題解決などの記事をUPすることでユーザーの信頼感を醸成する
◆既存顧客へのアプローチに対して最適なオウンドメディア
・メルマガの配信|顧客ロイヤリティの向上、課題の顕在化、MAツールを利用したメルマガの配信によって的確なアプローチが可能
・記事コンテンツ|メルマガから顧客の課題解決方法がわかる記事へ誘導、ホワイトペーパーなどのダウンロードへ誘導、メルマガから遷移した記事の精査やダウンロードしたホワイトペーパーの内容をもとに顧客の課題が顕在化した時点でアプローチ
このように、なぜそうなのか? という理由を明確にしながら戦略を立てていきます。前項でも説明しましたが、最初が肝心です。オウンドメディアだけに限らず、戦略に穴があるといくら運用しても効果は得られません。効果が得られなかった場合も視野に入れつつ、どれほどのリソースでどれくらいの成果を見込むかなどをはっきりさせておきましょう。もし、見込んだ成果が得られなかった場合、見込みが甘かったのか運用体制に問題があるのかなどを検証できるように、常に仮説を立てるようにし、その仮説をもとに適宜PDCAを回していくことが重要です。
ペルソナを考える
自社のターゲットとなる具体的なペルソナ(人物像)を考えます。年齢や性別だけでなく、仕事やライフスタイル、価値観に至るまで詳細に決めておくのがポイントです。
ペルソナを具体化させることで、自社の商品・サービスの集客につながりやすい効果的なメディアやコンテンツの内容を導きやすくなります。
カスタマージャーニーを設計する
カスタマージャーニーとは、ユーザーがどのように商品・サービスに興味を持ち、購買に至るまでの行動・思考・感情などのプロセスを時系列的に可視化したものです。
ユーザー視点に立つことで、課題やニーズに沿った質の高いコンテンツを提供できるようになります。自社が伝えたいことと、ターゲットが知りたいことのズレを無くす役割もあります。
コンテンツを考える
定めたペルソナやカスタマージャーニーをふまえて、配信するコンテンツを作成します。内容の正確性やオリジナリティ、ユーザーのニーズを捉えられているかやSEO対策などに考慮が必要です。
また、コンテンツ内のトーン&マナー(トンマナ)も統一しておく必要があります。どのような視点・立場でコンテンツを作成するか、文章表現や言葉選びによって読み手に与える印象が変わります。自社のブランドや商材を考慮して、ターゲットに伝わりやすいトンマナを定めましょう。
現在はネットに情報が溢れているため、どこでも拾える模倣のコンテンツよりも、独自のノウハウが詰め込まれたコンテンツがユーザーに求められる傾向にあります。自社独自のノウハウをチラ見せして、集客や認知向上に役立ててくださいね。
自社にあったオウンドメディアの運用をすることが大切
いかがでしたか?
オウンドメディアは、テレビCMやWeb広告といった媒体に資金をかけにくい中小企業こそ、注力すべき集客方法といえます。CMや広告と比べて低コストで運用できるだけでなく、うまく運用できれば認知度アップや売上増加、ブランディングなどの効果も期待できます。
ただし、初期投資についてはある程度の覚悟が必要です。結果的にテレビCMやWeb広告よりも費用はかからないはずですが、初期投資についてはリソースの確保なども考慮するとテレビCMやWeb広告よりも、もしかするとコストが必要となるかもしれません。しかし、一度育て上げればある程度末永く活躍してくれるものまたオウンドメディアの魅力です。軌道に乗るまではつねにPDCAを回し、良い結果が得られるように努力しましょう。長期運用が成功のカギですよ。
また、どうしても自社では難しいようなら、最初の何ヵ月かだけでも専門家と一緒に運用していくこともおすすめします。実際、ゼロベースでノウハウを蓄積するよりもそちらの方がコスパがいい可能性もありますので、自社の資金や状況を加味して判断してくださいね。
シスコムでも、オウンドメディアの立ち上げから運営代行まで、一貫したサポートを 行なっています。ヒアリング内容をもとに、新規顧客の獲得からリピーター、顕在顧客のリード獲得へとつなげるコンテンツ制作をご支援することが可能です。無料相談も実施しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
オウンドメディアについてもっと知りたいという方は、ぜひ以下の記事も参考にしてくださいね。
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この記事のまとめ
- オウンドメディアの運営は、コストや情報発信の面などから中小企業におすすめ
- オウンドメディアの運営は主に記事コンテンツ・動画コンテンツ・ウェビナー・メールマガジンの4つ。なお、企業ホームページの運営は必須なのでない場合は先につくる
- オウンドメディアの運営を始める場合、初動前の段階である社内体制づくりが肝となるため必ずいくつかのことを決めておく
- コンテンツ制作の際、内製(すべて自社制作) と外注 (外注の手を借りるor すべてお任せ) 等方法があるが、 それぞれメリットデメリットがあるので、自社に合った方法を探す必要がある
- 初動前の段階で、どのメディアをなんの目的で制作し、どのような戦略をもって目的を達成するのかを明確化しておく
- 思う結果が得られなかった場合にも原因をデータとして残せるようにすべては仮説を立てて遂行し、PDCA を回していく
- オウンドメディア運営/運用は効果が出るのに時間がかかるため、長期戦を想定し、他メディア (SNSなど)などと並行してチャレンジする