インタビュー:株式会社mynet.ai 執行役員・CMO 池田開さん WebマーケティングにおけるAI導入の可能性とは?事例で解説
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AI(人工知能)は近年、声高に注目されている技術。Webマーケティングの業界にいる方のなかには、自社のマーケティングに活用できないかと模索している方も多いことでしょう。AIツールを効果的に活用すれば大きな成果を得られる可能性があるものの、ただ闇雲に導入すればよいというものではありません。そこで本記事では、AI活用サービスを提供している企業の方とのインタビューを含め、活用の可能性について解説します。
目次
AI(人工知能)とは?
AIとは、Artificial Intelligenceの略称であり、日本語では人工知能と訳します。まだ新しい技術であるため専門家によって定義は異なりますが、一般的にはコンピューター上に人間のような知能を再現する技術のことを指します。
AIというと、人間に取って代わるロボットのようなイメージを持つ人も多いかもしれません。そのような全能的な働きを行うものは「強いAI」と呼ばれ、一方で特定分野に特化したAIは「弱いAI」と呼ばれます。「弱い」といっても能力が低いわけではなく、すでに特定分野では人間の能力を凌駕するレベルに達しています。
AIにできること
「強いAI」「弱いAI」のなかでも現在注目されているものは「弱いAI」で、それぞれ得意・不得意なことや特徴が異なります。そのためAIによって何ができるのか、何に特化しているのかをしっかり把握しておくことが大切です。
AIにできることには、主に以下のものがあります。
・文章理解
記載されている文章を理解し、翻訳・要約し、記事を作成することができます。
・音声理解
機械に話しかけることで、一定の内容であれば理解・応答することができます。
・画像認識
画像認識の中で特に進んでいるのが顔認証システム。監視カメラなどでの活用が進んでいます。
・推論
過去の学習をベースに、法則性を学習して新たなデータの解答を見つけることができます。
・機械制御
自動車やロボット産業において、データを理解し、学習しながら最適な制御を行うことができます。
これまでの技術と比べ、高いレベルで再現できることが、AIの最大の特徴です。
AIが得意なこと
AIが得意としていることは、上記のできることの中でも「単純労働」「データ処理」「共通点の発見」の3つ。これらは現段階でも、人間より高いレベルでこなせると言っても過言ではありません。
WebマーケティングとAI
前述のような特徴を有するAIですが、Webマーケティング分野での活用は考えられるのでしょうか。結論から言えば、AI導入は大きな可能性を含みます。
Webマーケティングの肝となるのが、数字によるデータ分析です。PVやコンバージョン率、離脱率など分析するために用いる数値はいくつもあります。
これらをAIによって学習・分析させ、最適化させれば、人間が行っていたよりも高いレベルで、かつ短期間で分析が可能となるでしょう。
また、多くのサンプル数を含むデータも瞬時に解析できるため、より精度の高い分析が可能となります。まだまだ全面導入というわけではありませんが、Webマーケティング×AIの可能性は非常に高いと言えます。
【対話】AIとマーケティングについて/株式会社mynet.ai 執行役員・CMO 池田開さん
ここで、本日はデータ分析・AI(人工知能)活用サービスを提供している株式会社mynet.ai執行役員でCMO(最高マーケティング責任者)の池田開さんにお越し頂いて、AIとマーケティングについてディスカッションしていきたいと思います。
どうぞ、宜しくお願い致します。
池田:
よろしくお願いします。
浅野:
池田さんが勤めていらっしゃる株式会社mynet.aiではどの様な仕事をされているんですか?
池田:
弊社は「オンライン社会の“自動運転”を。」をビジョンにかかげ、データ分析・AI活用サービスを提供するテクノロジーカンパニーです。データサイエンティスト・AIエンジニアを擁するマイネットグルー プの戦略子会社として、国内最大級の累計70タイトル以上のゲーム運営で蓄積されたビッグデータと、その分析を通じた知見・ノウハウを活用し、グループ各社や他社のオンラインサービス課題に対するソリューションを開発・提供しています。2020年2月にWEBマーケティングにおける“自動運転”を実現するサービスとして「OptimRobo」をリリースしました。
私は主にOptimRobo販売のマーケティング活動とOptimRoboを導入頂いたお客様に対してマーケティング支援のサポートをしております。
浅野:
確か、初めてお会いしたのは2019年の秋ごろでしたよね。あの頃と今とでは大分周りの環境は変わって来てるんじゃないですか?
池田:
そうですね。「AI」や「DX」などのバズワードも落ち着き始め、改めていかにAIやデータをビジネスの成果に繋げるか?ということに多くの企業が注目し始めたと思っています。特にコロナ禍ということもあり多くの企業はコストパフォーマンスでAIやデータ活用サービスの導入可否を判断するようになってきたなと感じています。弊社はずっと事業会社であるマイネットの中でいかにAIとデータ活用を用いて“利益”に貢献できるかという視点をかなりシビアに見てきました。そこが弊社の強みであり、弊社のサービスを導入頂いたお客様に対して導入金額以上の利益貢献でお返しできている所が今弊社の引き合いが増えてきている大きな理由だと思います。
浅野:
利益貢献という視点は私たちの様なソリューションを扱う企業では重要な事ですよね。最近、私のお客様の中でも「AIについて聞きたい」、「AIは何ができるの?」という話になる事が多いです。様々な有識者が定義や分類を提唱していて、識別系AI、予測系AI、実行系AIや強いAI、弱いAI等がありますよね?池田さんは、AIの魅力をどうとらえていますか?
池田:
人間とAIがぞれぞれ得意領域を担当し、今まで以上の価値を出し続けられるサイクルを回すことができるという点に魅力を感じています。特に2つの点でAIは分かりやすく人間よりは優秀な点があります。それは「膨大なデータの処理能力」と「労働力」です。
膨大なデータ処理によって、AIは人間には出せない高精度な予測データを出すことができます。その予測データを人間が活用しながら高度な意思決定を行っていきます。
AIは24時間365日高速で動き続けることができるため、その労働力を活用して単純作業はAI(ロボット)に任せて、人間は得意とする“考える”・“創る”といったクリエイティブな作業に時間を当てることができます。
このようにAIの上司になることで自分自身のパフォーマンスを向上させることができることに大きな可能性があると思っています。
浅野:
データを溜める時代から、データを活用して解決策や法則性を見つけるという時代になって来ていますよね。
池田:
はい、おっしゃる通りですね。正しくプロセスを踏むことで、データから見える法則性によってどんな施策を打つべきかが明確になります。
その点において、精度・スピード共にAIは人間より優秀なため、どのようにAIと付き合うか?というのはこれからの時代の大きなテーマになると思っています。
浅野:
そんな中、初めてお会いしたきっかけとなった貴社の商材がOptimRobo(旧.optima)でしたが、池田さんが求めているAI活用がこの中に全て含まれているということですか?
池田:
はい、OptimRoboは弊社が考える正しいAIとの付き合い方を体現したサービスとなっています。
OptimRoboはWEBサイトのA/Bテストに必要な高度な判断をAIが自動で行ってくれるサービスです。また、現在ではWEBページのデータからどのような分析をおこなうべきか?の示唆を出してくれるAIもリリース予定です。
A/Bテストにおける労働力を担いつつ、膨大なデータを分析し、次の施策に繋げるための新たな示唆を分析者に教えてくれるため、WEB改善におけるAIと人間によるハイブリッド自動運転を実現してくれるサービスとなっています。
もちろんビジネス接続に強い弊社のマーケターやデータサイエンティストがサポートにも入りますので、誰でもAIを成果に繋げることができます。
浅野:
そうすると、広く多くのお客様へのご提案ができる商材だと思うのですが、特に「このような業界」「このような企業様」に向いているという要素はありますか?
池田:
WEBからの集客に力を入れていらっしゃる企業様であれば十分成果を出せると思っています。特にランディングページを使って広告から集客をされている企業様であれば実績が多くあります。
導入頂いている企業様の傾向としては、広告のチューニングもしっかり行っている、LPのデータを見ながら改善しているにも関わらず、CVRが改善しないといった「手詰まり感」をお持ちの企業様が多いです。WEBサイトは多くのデータを取得できる分、CVRとは関係のない指標を分析し続けてしまう等の落とし穴に陥りやすいです。データを使った改善プロセスには正しい方法があり、その方法をとれば着実に成果に繋げることができます。
手詰まりから機会損失をしてしまっている企業様のお役に立ちたいと思っています。
浅野:
確かに。詳細で膨大なマーケティングデータをお持ちの企業様も増えてきていますよね。そのデータを活用して施策を打ち出すという点においては、まだ過去の経験則であったり、感覚値で進めている場合も多いですね。弊社のお客様でも、長い間Web販促施策を続けていて、損益分岐点が下がらなく、ラジオ媒体に注目して弊社にお問い合わせを頂くという事例も数多くあります。次の一手を出すためにAIを使うという事かと思うのですが、具体的にはどのようにすればいいですか?
池田:
A/Bテストや改善を行う時にアイディアを出すという工程は避けては通れません。AIやデータ分析者がデータドリブンにそのアイディアから改善を出すにはアイディアを考える時にコツがいります。
それは「アイディアを因数分解できるようにタグをつける」ことです。
タグというのは、アイディアに含まれる要素を指します。
私たちはマーケティング視点で「ターゲット」・「顧客課題」・「ベネフィット」の3つの要素から仮説を複数だして、アイディアに当てはめることを推奨しています。
そうすることで各アイディアにタグが付き、データ分析結果時にどの方向性で改善を続けていくのかが明確になり、AIやデータ分析者も示唆が出しやすくなります。
最初は難しいので、弊社がサポートに入り仮説出しから分析までを並走させていただきます。
上記の3大要素はBtoB、BtoCどちらでも使うことができるマーケティングフレームワークになりますので、ジャンルを問わずサポートできるかと思います。
浅野:
AIについては、大きな可能性を秘めていますが、活用の仕方によって大きな成果を得られるかが変わってきますね。
本日は、お忙しい中ありがとうございました。
池田:
ありがとうございました。
まとめ
WebマーケティングとAIは比較的親和性が高く、大きな可能性を含んできます。特にデータ分析では、その効果を大きく感じることでしょう。しかし効果的に使えなければ、十分な成果を得られないばかりか、大きな失敗に終わってしまう可能性も。活用方法を検討したうえで導入する必要があります。