マーケティングオートメーション(MA)導入チェック! MAツール導入の失敗例と10の注意ポイントをご紹介
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公開日
2019.08.26
- 更新日
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マーケティングオートメーション(MA)導入は企業のビジネス傾向、企業体質、これまでのWeb活用度によって成否が決まります。
実はこのマーケティングオートメーション(MA)導入に向いている企業、向いていない企業はいくつかのチェック項目で判定できます。
今回は、マーケティングオートメーション(MA)導入成否の要素をできるだけわかりやすく解説し、その上ですぐに簡易判定ができるチェックツールを提供させて頂きました。
導入予定企業であれば、すぐにチェックして見てください。
目次
導入を周りに影響されてはだめ
近年、マーケティングオートメーション(以降MAと記述)の導入を検討している企業が格段に増加しています。
動機としてMA導入によって「現状のマーケティング、セールス活動が効率的に行えるようになる」という目的意識と見込みから検討している企業もあります。
しかし「経営層からの指示をされた」、「競合企業が導入したらしい」という周辺の影響や「話題だから検討してみたい」という理由まで動機は様々です。
きっかけはMA導入を周りの影響から検討したとしても、しっかりと理解し、正しく意思決定をすることが大切です。
MAの導入診断項目は主に4つ
MAの導入診断は「ビジネス傾向」「企業体質」「Web活用度」、最後に「導入検討」の4つの要素でチェックすることできます。
また、このチェックにより導入の成否がわかります。
仮に「導入に向いていない」という判定が出たとしても、各チェック項目を改めて社内で実践することにより「導入に向いている」企業に改善することも可能です。
この点を理解しながら診断を進めてみましょう。
MA導入チェックリストの内容を理解しよう
ではMAの導入診断の4つのポイント「ビジネス傾向」「企業体質」「Web活用度」、「導入検討」について解説を進めます。
ビジネス傾向(ビジネスモデル)
MAは「迷っている顧客」とのコミュニケーションに絶大な効果を発揮します。御社の顧客の多くが「迷っている顧客」ならMAを導入すべきです。
そして御社にこの「迷っている顧客」を発掘する入り口があり、「迷っている顧客」の傾向を掴んでいるのならMAが活用できる土台ができています。こうした点から、以下の問いがすべてYESなら、積極的に導入検討をしたほうがよい状態です。
・御社製品、サービスは検討の時間を要する。(高額で、検討情報が必用)
・顧客には共通の傾向がある。(顧客の課題や、求めている理由など)
・新規顧客獲得としてセミナー、展示会等を行っている。(または行える)
・契約獲得するための提案書ひな形などの定型的営業ツールを活用している
・インサイドセールを行っている。また今後行える。
企業体質
MAは単なるシステムの導入ではありません。SFA(セールスフォースオートメーション)等の導入経験があればわかると思いますが、社内のワークフロー、各セクションの協力関係、場合によってはレポーティングラインを新しく構築する必要もあります。
つまり企業全体として導入に向けての活力(やる気)が必要で、例えば以下のチェック項目でYESが多ければ比較的スムーズな導入が期待できます。
・経営層がマーケティングオートメーション導入に興味を持っている
・専任のWeb担当者がいる
・営業とマーケティングが協力関係にある
・営業とマーケティングは同じKGIを目標にしている
・見込み客のリストがある。(1000件以上)
Web活用度
これまでの御社のWebの活用度も重要です。
簡単に言ってしまえば「問合せ」等のコンバージョンを上げる努力を、これまで定期的に行ってきたのであれば、MA運用にさほど苦労しません。しかし残念ながら放置気味のWeb運用であったなら苦労される可能性が高いです。しかし以下のチェック項目で不足している箇所を改善して半年間、または一年間実践してからMA導入を行えば導入への土台ができるためスムーズに運用ができるはずです。
・ペルソナを作ったことがある。
・カスタマージャーニーを作ったことがある。
・ユーザに向けてノウハウコンテンツを定期的に提供している。
・PDCA運用を行っている。(GAでレポート)
・SEOの強化を定期的に行っている。
MA導入検討
MA導入検討では目的と目標が明確でなければなりません。また前記の通りMA導入には業務改革が伴う場合があります。
この点を組織として導入前に理解をすることが重要であり、その意識をもって導入すれば間違いなく効果が期待できます。
・目的と目標が明確だ
・実践したいマーケティング施策がある(例えばメールマーケ、コンテンツマーケ)
・最小スタートで考えている。(重点事業から開始)
・MA活用と併せてワークフローを変えることいとわない
・MA活用と組織の変更も検討できる。
MA導入チェックシートダウンロード
MA導入に必要な「ビジネス傾向」「企業体質」「Web活用度」、「導入検討」について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
ぜひチェックシートを活用し御社でも診断をしていただきたいと思います。
仮に診断結果が悪かったとしても、その結果が良くなるように改善を行い、その上で導入すればMAの活用で失敗はありません。
さらに詳細は診断や導入検討の確認が必要ならば、ぜひシスコムにお問い合わせください。
MAツール導入の失敗例と10の注意ポイントをご紹介
導入することによって多くのメリットを得られるMAツールですが、効果的に使用しなければ失敗することも多々あります。導入する際は、正しい知識と注意点についてしっかり把握しておくことが大切です。
MAツール導入による失敗例を紹介しつつ、導入における注意点を10点解説します。
①目的と目標を明確にする
MAツールを導入する過程で、必ず目的と目標を明確にする必要があります。MAツールを導入することが目的となってしまえば、その後PDCAサイクルを回すことはできません。当然、具体的な数値目標を立てることも難しく、効果を確認することもできないでしょう。
当然ですが、MAツールを導入するだけでは何かが劇的に変わることはありません。あくまでツールという認識を持たうえで、どのような効果を期待するのか明確に定義するようにしましょう。
具体的には、関係者での話し合いや準備が必要となります。この過程は忘れないようにしましょう。
②自社業務に適したMAツールを使用する
MAツールは、マーケティングを自動化する技術です。そのため自社が行うマーケティングにおいて、適したツールを使用しなければ十分な効果を得ることは難しいでしょう。
例えば、リード数が少ない場合はオウンドメディアに対応しているもの、リードジェネレーションに適したものやリード数が得られていない場合は、リード管理機能が多いものを選ぶ必要があります。
また、機能が充実しているから良いツールというわけでもありません。ツールは使いこなせなければ意味がないため、業務で確実に使いこなせるツール選定をすることも重要です。
③導入における人員確保
MAツールの導入における人員確保も重要。ツール導入は、マーケティングに割く人材が不要になるというわけではありません。むしろ効果的にMAツールを運用していくためには、準備の段階から運用・効果測定まで多くの人員が必要です。
MAツールに任せられる点はあるものの、Webサイト設計やスコアリング設定、メール配信設定など、まだまだ人間の手によって運用すべき業務は多々あります。
MAツールの導入によって人件費を浮かすと考えるのではなく、ツールを用いていかに成果を上げていくのかを考える必要があります。
④常に改善しつつ進める
MAツールを導入したとしても、一朝一夕で成果が出るわけではありません。長期にわたって運用・分析し、それに基づいたノウハウが必要です。ノウハウを十分に活かすには、運用・分析の過程で得られるデータについて、常に改善を行うPDCAサイクルが重要です。
PDCAサイクルを行いつつ運用することで、スコアリングの精度を上げることができ、さらなる効果が期待できます。どのような状態を目指すのか定めた上で、それに対する実際の結果はどうなのか、どのように改善していくのか、日々考えることが重要です。
⑤コンテンツを十分に確保する
MAツールを導入し、十分な効果を得るためには、Webサイトのコンテンツが充実していることが前提条件となります。ダウンロードしてもらうための資料やブログ・コラムなどの発信、導入事例やインタビューページの作成、商品・サービスを使用してもらうための紹介ページの作成など、Webサイトを充実させるための施策は多岐に渡ります。
これらのコンテンツを十分に確保しなければ、MAツールを導入しても満足のいく結果となることは難しいでしょう。
MAツールを導入する前に、コンテンツの充実を考えましょう。
⑥スコアリングを十分に機能させる
一定の基準で顧客行動に点数をつけ、基準を上回ると興味度合いの高い顧客と判断するスコアリング機能。この機能を十分に機能させることも重要です。
もともとMAツールの得意分野であり、この機能のために導入される方も多いでしょう。ただし、長期での運用・分析によって得られるノウハウをもとに導入する必要があり、運用設計で注意が必要です。
例えば調査の目的で多くのアクセスを行うAと、あまりアクセスしないけど、資料ダウンロードをするBとでは、どちらを重要視すべきか明らかでしょう。
設定や設計によって大きく変わるスコアリング機能は十分に活用したいものです。
⑦短期間で成果を期待しない
MAツールを導入し、短期間での成果を期待することも要注意。MAツールの導入は、確かに費用もかかり、準備やさまざまなリソースが必要となります。しかし、マーケティングが一筋縄でいかないように、MAツールの運用も簡単にできるわけではありません。
特にナーチャリングが目的のMAツールは、効果が数字で現れるのに時間がかかるという特徴があります。こうした特徴を事前に認識したうえで、じっくりと時間をかけて運用していくことを考えるべきです。
⑧メール配信後のアクションを明確にする
MAツールを導入し、メール配信までの導線設計はうまくいっても、その後のアクションが不明確で十分な成果をあげられないというケースもあります。適切なタイミングでメール配信をしたとしても、資料請求やセミナーへの来場、商品やサービスの購入など、最終的に求めるゴールに導かなければ意味がありません。
メール配信自体を目的とするのではなく、あくまで最終的なゴールに対する道筋であるという認識が必要不可欠です。
そうした意味でも、最初の目的や目標の設定が重要なのです。
⑨一定のリード数を確保する
一定のリード数を確保することも、注意すべきポイントです。目標をたてて適切に運用したとしても、アプローチすることができるリード数が足りなければ、十分な結果を得ることは難しいでしょう。メール配信を目的としてMAツールを導入する企業は多いですが、今現在保有しているリード数が100件〜200件程度では、MAツールの効果を最大限発揮することは簡単ではありません。
メールの開封やクリック率なども重要な指標ですが、最も大切なのは目標としているゴールにどれだけ導けるかです。最終的なゴール(見込み客)になってくれるリードが数%程度ということを考えれば、最低でも1000件以上、できれば1万規模のリードは必要です。この規模のリードを獲得してから導入を検討しても遅くありません。
⑩MAツールに期待しすぎない
最後に紹介する失敗例は、MAツールに過度な期待をしているケースです。AIやブロックチェーンなどの技術と同様に、技術そのものを過大評価し、導入すればそれだけで結果が出ると期待していることが大きな失敗原因でしょう。
確かにMAツールを用いれば、マーケティング施策が自動化でき、ナーチャリングやコンバージョンに向けた対策もできます。しかし最終的には人の手が必要であり、MAツールだけで成功することは不可能でしょう。ツールを正しく使いこなし、さらに知識やスキルを身につけることで、導入の効果が最大化できるのです。
まとめ
MAツールは、企業のマーケティング活動において、大きな武器になる可能性を秘めます。ナーチャリングやスコアリングなどが具体的な例です。一方で正しい使い方をマスターしなければ、導入コストの割に効果が実感できないといった事態に陥ることも。本記事を参考に、失敗例とその注意点を知り、効果的に導入していきましょう。