自社分析を行い方向性の明確化を! 企業ブランディングの効果と進め方
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自社のブランド価値を高める企業ブランディング(コーポレートブランディング)は、競争に勝ち抜くだけでなく、今後企業として飛躍するための大切な戦略です。しかし、企業ブランディングを始めるにあたって、どこから手をつけるべきか、またどのように進めていくのかわからない人も多いでしょう。
今回は企業ブランディングをわかりやすく解説するとともに、具体的な進め方や期待できる効果などをご紹介します。
目次
企業ブランディングの基礎知識と期待できる効果
企業ブランディングを行う前に、その基礎知識を身につけておきましょう。ここでは、企業ブランディングの意味と目的、期待できる効果について説明します。
企業ブランディングとは
企業ブランディングとは、企業の目的や姿勢を明確に提示して、社会やステークホルダー(利害関係者)に自社のブランドイメージを共有してもらう取り組みのことです。自社だけが持つ強みや魅力を独自の価値として伝え、社会全体に認知してもらえるように努めるのが基本です。
ブランドイメージが定着すれば企業価値が向上し、自社を支持する人が増えます。「この企業の商品を使いたい」「この会社と取引をしたい」と思ってもらうことが、企業ブランディングの目的の一つです。
コーポレートブランディングとも呼ばれる企業ブランディングは、商品価値を高めることを目的とした「商品ブランディング」とは異なり、企業そのものの価値を高めていく活動です。
明確なブランドを確立できれば、その先も長く独自の企業価値を世間に示すことができます。それは他企業との差別化にもつながり、さらなるブランド価値の向上も期待できます。
企業ブランディングのカギを握る2つの価値
企業ブランディングを効率良く実施するためには、「機能的価値」と「情緒的価値」に目を向けることがポイントです。
提供する商品やサービスが与える機能的価値と、人間の感覚や心理に訴える情緒的価値のバランスを上手く取ることが、企業ブランディングを成功に導くカギです。
言うまでもなく、商品やサービスの質を高めて利用者を増やすことは、企業ブランドを高める基本です。
新しいアイデアと改善によって、顧客ニーズにマッチした商品・サービスを提供していくことが、企業の機能的価値を高めることにつながります。しかし、商品の性能やサービスの充実ばかりに注力すると、肝心の「顧客目線」から遠ざかってしまいます。機能的価値にばかり力を入れると、商品やサービスがもたらす効果が半減してしまうおそれがあるのです。
ユーザーの心理に訴えかけて情緒的価値を提供できれば、自社のファンになってもらえる可能性が高まります。ファンを獲得できれば、自社のあらゆる事業活動に新しい価値が生まれるでしょう。情緒的価値の提供を重視して、消費者の興味や探究心を刺激できる存在になれば、社会に企業ブランドをアピールできるはずです。
しかし、ユーザーの心を煽るばかりで、肝心の商品やサービスの内容が充実していなければ、あっという間にファンは離れていってしまいます。信用の失墜は企業ブランドを損なう直接的な原因となるので、情緒的価値の提供に注力しすぎるのはリスキーです。
だからこそ、機能的価値と情緒的価値の両方を高めていくことが求められます。この2つの価値をしっかりと押さえておけば、それぞれのメリットや効果を享受できます。企業ブランディングを実施するなら、どちらか一方ではなく、機能的価値と情緒的価値の両面を意識するようにしましょう。
企業ブランディングによって期待できる効果
企業ブランディングによって企業独自の価値が高められれば、あらゆる面で「調達力」が向上します。調達力とは企業にとって必要な物資を集める能力のことで、企業の成長に欠かせない要素です。
高まった調達力は、事業資金はもちろん、人材や顧客、取引先といった人に関係する部分にも影響を及ぼします。必要に応じて各所から調達できる環境が整えば、企業の成長が促進するでしょう。
さらに、企業ブランディングは企業価値を「オンリーワン」に変え、そこでしか得られない体験やメリットを外部に与えます。それによって得られる知名度の向上と継続的な関係は、企業にとって非常に有益です。
企業価値が高まると社員のモチベーションも向上し、それが生産性の向上にもつながっていきます。企業の内部を活性化させることができるので、企業ブランディングはどのような会社でも意識すべき施策と言えるでしょう。
企業ブランディングの進め方・マーケティング方法
実際に企業ブランディングを行う際は、やり方を理解しておかなければ失敗する可能性が高いです。ここからは、企業ブランディングの進め方やブランドマーケティング方法について説明します。
企業ブランディングは自社分析から始まる
企業ブランディングを始めるにあたって、まず自社分析を行う必要があります。現在の事業内容や、市場、流通などの要素を再確認して、企業の全体像を把握しましょう。
全体像の把握には具体的なデータや事例が参考になるので、社内で自社のイメージをヒアリングしたり、企業を構成する要素を数値化したりするといいでしょう。また、顧客にアンケート調査を実施して、客観的な意見を求めることも自社分析につながります。
あらゆる角度から分析を行って自社の現状を明らかにすることが、企業ブランディングの第一歩となるのです。
自社を分析する際には、競合他社との比較も行い、その差やニーズの違いを確かめることもおすすめです。比較対象を作ることで自社の立ち位置がより明確になりますし、競合が行っている企業ブランディングを知るきっかけにもなるでしょう。
ブランドコンセプトと戦略を固めて運用する
次は、自社分析によって見出された「強み」や「独自性」を活用して、目指すべきブランド像を定義します。どのようなブランドコンセプトにすれば自社の価値や魅力が最も伝わるのかを考えて、具体的な方向性を固めていくのがポイントです。
ブランドコンセプトは客観的な意見に基づいて定義するのが基本なので、一人の偏った価値観で決めることのないようにしましょう。納得のいく理由やデータによって裏づけられた意見を尊重し、企業全体が親しみを持ちながら世間にアピールできるブランドコンセプトを作っていきましょう。
ブランドコンセプトが固まったら、その伝え方を考え、戦略の立案に進みます。たとえば自社サイトや企業ロゴといったブランディングツールを活用して、継続的に認知してもらうための環境を整備するのも一つです。
一目で企業イメージが伝わるようなロゴや、気になって検索したユーザーがスムーズにたどり着けるSEO対策済みのWebサイトなどは、企業ブランディングを促進してくれるでしょう。
作成したブランディングツールは、会社案内や外部に配る資料に盛り込み、社会に浸透させていきます。その際は社員にも協力を仰ぎ、企業全体で社会にアピールする姿勢も求められるでしょう。
SNSマーケティングを活用したブランディング
現代の企業ブランディングでは、「SNSマーケティング」が有効です。広告コストの削減や、ファンの獲得、顧客ニーズの正確な把握、その他あらゆる効果が期待できます。
企業の情報をユーザーに直接届けることができ、かつ反応を確かめることができるSNSは、企業ブランディングの効果を高めます。
SNSマーケティングを軸に企業ブランディングを進めていくことも、成功への近道です。
SNSマーケティングを行う際には、各SNSの特徴を理解した上でコンテンツを選別する必要があります。SNSにはそれぞれのスタイルとユーザーの特徴があり、利用しているユーザーの年齢層や拡散力などに違いがあります。
ブランドコンセプトを活かしつつ、利用者とマッチするSNSを選ぶことが、SNSマーケティングにおける企業ブランディングのコツと言えるでしょう。
企業ブランディングの実例
putipa
大豆製品の新ブランドを立ち上げた不二製油グループ本社と、ブランド名・ロゴ・レシピ開発・Webサイト運営・SNS運営・展示会出展などブランディングとマーケティングに関わるあらゆる面でサポート。
アクアソリタ
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経口補水液では後発の味の素とWebサイトを中心としたブランディング施策を実施。流通バイヤー向けのデジタル施策や、年配層に向け・お子様を持つ両親向け・M2層向けなど製品を軸にしたストーリー開発を実施。
企業ブランディングの正しい進め方を理解して効果を高める
企業ブランディングを行うことで、企業はさまざまなメリットや効果を得られます。そのためには、正しい進め方を理解した上で計画を進めていく必要があります。企業ブランディングの効果を高めるためにも、今回ご紹介した内容を参考に「何から始めるべきか」「どのように進めるべきか」を把握するようにしてください。