【2023年最新版】Cookie規制徹底解説 Cookie規制とは【後編】|日本ではいつから始まる?9つの対策について解説
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Cookie規制によって、日本の企業にも大きな影響が及ぶことが推測されます。なぜなら、従来のマーケティング手法ではCookieが活用されているケースが多く、Cookie規制の影響によってマーケティング精度が低下してしまうためです。
Cookie規制に関する記事の前編では、Cookie規制の内容や背景などについて解説しました。後編では、Cookie規制による具体的な影響と、それらへの対策について解説します。
前編をまだ読んでいない方は、まず「Cookie規制とは【前編】|日本ではいつから始まる?どう対策すべき?」からご覧ください。
目次
Cookie規制による4つのおもな影響
Cookie規制による影響としては、おもに以下4つのものが挙げられます。
- リターゲティング広告への影響
- コンバージョン計測精度低下
- アトリビューション分析精度低下
- ビュースルーコンバージョンの計測に対する制限
以下の見出しでは、それぞれの詳細について解説します。
1.リターゲティング広告への影響
リターゲティング広告とは、一度ホームページに訪れたユーザーに配信する追跡型広告のことです。リターゲティング広告ではサードパーティーCookie(3rd Party Cookie)が活用されているため、Cookie規制の影響を大きく受けます。
特にリターゲティング広告は、コストパフォーマンスが他の広告よりも高い傾向があります。なぜなら、自社商品に対する購買意欲が高いユーザーに表示できるためです。そのため、Cookie規制によるリターゲティング広告への影響は、企業にとって大きいものであると推測できます。
2.コンバージョン計測精度低下
一定数のユーザーは、ホームページに何度か訪問したうえでコンバージョンに至ります。そしてコンバージョンに至るまでの過程は、サードパーティーCookieを活用したコンバージョン計測によって把握できます。
言い換えれば、サードパーティーCookieを活用できないと、正確なコンバージョンの計測ができない
ということです。その理由はCookie規制により、ユーザーが初めてホームページに訪れてから数日間経過後にコンバージョンした場合、Cookieから得られたはずのユーザー情報が得られないためです。よって、ユーザーがどのような過程でコンバージョンに至ったのか、うまく把握できなくなってしまいます。
このようにコンバージョン計測精度が低下すると、マーケティング施策効果測定が難しくなるため、企業のマーケティング全般に影響を及ぼす可能性があります。
3.アトリビューション分析精度低下
アトリビューション分析とは、ユーザーのコンバージョン直前の動きだけではなく、そこに至るまでに接触した複数の経路を評価する分析手法のことです。そして1人のユーザーが複数の経路を通ったことを把握するためには、サードパーティCookieを活用する必要があります。
1人のユーザーが複数の経路を通る例として、リスティング広告からオーガニック検索、バナー広告を経由してコンバージョンに至るケースなどが挙げられます。アトリビューション分析ではこのような場合でも、評価モデルに応じて経路ごとにコンバージョンへの貢献度を把握することで、どのようなユーザーに対しどの広告へ誘導させるのが効果的であるかわかりやすくなります。
しかしサードパーティCookieにより、このアトリビューション分析が難しくなります。その結果、コンバージョン計測精度の低下と同様に、マーケティング施策全体の効果測定に悪影響を及ぼす可能性があります。
4.ビュースルーコンバージョンの計測に対する制限
ビュースルーコンバージョンとは、ユーザーがホームページで表示された広告をクリックしなかったものの、別の経路からコンバージョンへ至ることです。しかしサードパーティーCookie規制により、ユーザーがどのような経路からコンバージョンへ至ったのか把握しづらくなるため、ビュースルーコンバージョンの計測の精度も落ちてしまいます。
参考:Yahoo!広告ヘルプ|ビュースルーコンバージョンとは
Cookie規制に対する9つの対策
Cookie規制により、従来のマーケティング手法では、これまで通りの成果を出すことが難しくなると考えられます。そのため以下9つの対策により、パフォーマンスを低下させないよう努める必要があります。
1.サードパーティーCookieに依存しない
Cookie規制によってマーケティング精度が落ちてしまうのは、おもにサードパーティーCookieの力に頼っていたためです。しかし、サードパーティーCookieに依存しなければ、マーケティング精度を保てると考えられます。
そもそもサードパーティーCookieが問題視され、規制対象となっているのは、ユーザーのプライバシーを侵害する可能性が示唆されているためです。そのため、ファーストパーティーCookieのような代替手段を用いることで、Cookie規制によるマイナスの影響を抑えられる可能性があります。
2.新規ユーザーを効率的よく獲得する手段を検討する
Cookie規制により、広告を使って多くのユーザーへリーチすることが難しくなると考えられます。このような状況下でパフォーマンスを維持するためには、自社商品やサービスを認知したユーザーを効率よくコンバージョンに至らせる必要があります。
コンバージョン率向上施策の例として、LPの改善が挙げられます。広告はコストを掛けるだけわかりやすく成果が出るため、LPの見直しは後回しにされがちですが、今後はそのような意識を改める必要が出てくるでしょう。
3.広告クリエイティブのクオリティを高める
広告クリエイティブ自体の質を高めれば、より多くのユーザーにクリックやコンバージョンなどの行動を起こしてもらいやすくなります。そうすることで、サードパーティーCookieに頼った集客から脱却できる可能性があります。
広告クリエイティブのクオリティを改善するためには、普段からユーザーの悩みやニーズを把握し、どのような情報を求めているのかまで的確に把握する必要があります。
4.Cookieを使った広告に頼らなくても集客できるようにする
今後は、Cookieを使った広告に頼らずに集客できる体制を整える必要があります。特に、リターゲティング広告に依存していた企業は、大きく方針転換したほうがよいでしょう。
Cookieを使わずとも高い効果を期待できる広告の例として「コンテキストターゲティング広告」と「Googleファインド広告」が挙げられます。
コンテキストターゲティング広告は、広告配信側が指定したテーマやキーワードに関するページやコンテンツ、特定のURLを掲載する広告です。ターゲティングはAIで解析されるため、サードパーティーCookieによるユーザーデータ取得は不要です。また現在では、ホームページの内容をAIが把握し、広告のリンク先ページを自動で最適化してくれる ケースもあります。
一方Googleファインド広告は、テキストや画像形式で配信できる広告です。Googleログインユーザーの検索履歴・閲覧履歴などを参考に配信できるため、サードパーティーCookieは必要ありません。
画像引用:Google広告ヘルプ|さまざまな場でユーザーに発見してもらえるファインド広告
Googleファインド広告はCookie規制の影響を受けないため、幅広いメディアに対し、高い精度で表示できます。また「Google Discover(スマートフォンでGoogleアプリを開いた際におすすめコンテンツが一覧で表示される枠のこと)」によって、YouTubeやGmailにも掲載できます。
5.カスタマージャーニーを意識してユーザー満足度を高める仕組みを作る
Cookie規制により、ユーザー個人の属性に合わせた広告配信が難しくなります。そのためカスタマージャーニーを意識し、ユーザー満足度を高めることで能動的に購買行動を促せるよう、インバウンド的な戦略を打ち出すことが重要です。
企業側がユーザーの再来訪を促すために広告を使うのは、あくまで一方的なコミュニケーションです。それに対し今後求められるのは、ユーザーとのコミュニケーションなどで満足度を向上させ、企業側が訴求しなくてもユーザーが自ら行動してくれるような仕組みをつくることです。
このような施策を実施することで、Cookieを使わずともユーザーをコンバージョンに結びつけやすくなります。またカスタマージャーニーを意識した戦略は、新規顧客の獲得だけではなく、リピーターを増やしたいときにも有効です。
6.すでに持っている利用者情報の状況を把握する
Cookie規制のおもな対象は、サードパーティーCookieです。それに対しファーストパーティーCookieは、今後も有効活用できる余地があります。そのため、ファーストパーティーCookieによって得た利用者情報の状況を把握しましょう。
具体的には、おもに以下の状況を把握する必要があります。
- プライバシー保護は十分にされているか
- データ管理はどこで実施しているのか
- ユーザーから利用許可を得ているのはどの情報か
またファーストパーティーCookieで得た情報の利用や管理を行う際は、個人情報の漏えいや滅失など、重大なトラブルを防ぐためのセキュリティ対策も必要です。
7.プライバシーポリシーの作成とユーザーへの周知を進める
自社が保有しているユーザー情報の把握および管理体制の構築が完了したら、プライバシーポリシーを作成し、ホームページ内で周知しましょう。その際は、プライバシーポリシーが「改正個人情報保護法」や「改正電気通信事業法」などの最新の法令に反していないか確認する必要があります。
プライバシーポリシーでは、以下の項目について定めます。
- 企業が取得するユーザー情報の具体的な内容
- ユーザー情報の具体的な利用目的
- ユーザー情報を第三者に提供する際の理由
- 第三者と共同利用する可能性がある具体的なユーザー情報
自社での対応が難しい場合は、弁護士など法律の専門家や、プライバシーコンサルティングを提供する会社などに相談しましょう。
8.GA4を導入する
現在のGoogleアナリティクスは、UA(ユニバーサルアナリティクス)によって計測されています。しかしGoogleは、Cookie規制の動きによる影響を受け、2023年7月1日よりUAの計測を停止し、GA4へ完全移行することを発表しました。
GA4は、CookieやIPアドレスを使わずに計測できる仕組みも用意しています。そのため、ユーザーのプライバシー保護を保護しながらも、より精度の高い計測が可能となります。
このようにGA4を活用することで、Cookieに頼らない分析ができるため、ぜひ導入を検討してみましょう。GA4につきましては「Web解析現場から伝えるGA4 -新規導入・アップデートの設定・メリット編-(Googleアナリティクス4)」も合わせてご覧ください。
9.Cookie利用への同意取得を目指す
Cookie利用が問題となるのは、あくまでユーザーが意図しない情報利用です。言い換えると、ユーザーからCookie利用の同意を得られれば、問題にならないということです。したがって、Cookie利用への同意取得を目指すことで、従来のマーケティング戦略を継続できる可能性があります。
ユーザーからCookie利用の同意を得る方法としては、ツールやシステムの導入が挙げられます。例えば、ホームページを訪れたユーザーに対してポップアップバナーを表示し、ボタンやチェックボックスのクリックによって同意を求める方法などが有効です。
また、Cookie利用の同意を得るためのツールには、同意情報の管理までできるものもあります。ツールには無料・有料のものがあるため、初めて導入する場合は無料ツールから試してみるとよいでしょう。
ただし、自社のデータ活用状況等によっては、ユーザーから同意を得る際に明示すべき情報も変わってきます。具体的にどのような情報を明示すべきかわからない場合は、弁護士など法律の専門家や、ツール提供会社などに相談してみましょう。
Cookie規制を正しく理解し、早めの対策を
Cookie規制は日本でもすでに実施されているため、内容を正しく理解し、早急に対策する必要があります。対策が遅れることで、マーケティング戦略がうまくいかないだけではなく、海外で起きている事例のように莫大な損害賠償責任を負うリスクもあります。このような理由があるため、Cookie規制対策は必須です。
シスコムでは、Cookie対策をサポートしております。無料相談も行なっておりますので「Cookie同意表示がでるようにしたい」「プライバシーポリシーを追加したい」など、お気軽にご連絡ください。
この記事のまとめ
- Cookie規制により、従来のマーケティング手法が通用しづらくなる
- 9つの対策を実施することで、Cookie規制による影響を抑えられる可能性がある
- 自社での対応が難しい場合は、外部機関の力を借りたほうがよい